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内科は診断学

先のブログで紹介した、部長の先生がことある毎におっしゃっていた言葉です。消化器内科は、内科の中では特に手技が多い診療科であり、内視鏡で早期癌の切除や総胆管結石の除去、またエコーを用いての膿瘍穿刺等、患者様の生命に関わるような治療も多くあります。若手のうちは、どうしても手技の習得に目を奪われがちになり、私自身も内視鏡治療ばかりに気が向いてしまい、ある指導医の先生から「先生は消化器内科医ではなく、endoscopistですね」と皮肉を言われたことを今でも覚えています。今となっては本当に恥ずかしい話ではありますが、内視鏡治療はそれほど若い時分には憧れを抱くような手技でした。しかし、様々な画像診断の研究会に参加するようになり、それぞれの医療機関で診断に悩んでいる症例に対して、エキスパートの先生方がなされるスマートな内視鏡診断を目の当たりにするにつれ、診断の面白さにすっかりとりつかれてしまいました。同じ内視鏡の画像を見ても、すぐに診断にたどり着く先生もいれば、全くたどり着かない先生もいる。さらに、たどり着かないだけならまだしも、違う疾患と診断をして真逆の治療を行っているということも目にしました。

今では、私も後輩医師に必ず診断の重要性を伝えるようにしております。なかなか診断にたどり着かない疾患(非典型例、希少疾患等)は、診断する側にとっても非常にストレスのかかるものではありますが、原因不明とされていた症状に苦しんでいた患者様は、それ以上に長い間、辛い思いをしています。ただ一旦診断さえついてしまえば、世の中には診療指針・ガイドラインというものが溢れているので、極端な話、誰でも治療は可能です。しかし、残念ながら正しい診断は誰にでもできるわけではありません。「内科は診断学」ということを忘れずに、これからも診断にはこだわり続けていきたいと思っています。